これはハラスメントではないのか
しばらく前から、世界的にハラスメントに対して非常に厳しく臨むようになっており、この点では日本も世界の例外ではない。「ハラスメント」とは、相手が嫌がることをして不快感を覚えさせる言動の全般を指す。その際、行為者にそのつもりがなくても、相手が不快だと感じればハラスメントに該当する。相手が不快だと感じた時点で、「言論の自由だ」などという言い訳は一切通用しない。
それなのに、暴力的な建物が、周囲の住環境も学習環境も毀損しようとして、周囲に住む人や学ぶ人が「不快だ」と声を上げているのに、どうして無視されるのだろうか。宝生ハイツ側は不動産所有者としての権利を主張するだろうが、周囲の住居や学校が「不快」だとして必死に声を上げているのである。宝生ハイツの場合は、行為者が人間ではなくモノだという点で、ハラスメントに該当しないというのかもしれないが、「モノ」を建てようとしているのは人間である。
地方自治体とは第一義的に、住民の生活向上や福祉の増進を図るために存在している。ところが、東京都が最優先するのは、土地所有者の権利であるようだ。少なくとも、土地所有者が利益を最大限に追求した結果、「住民の生活向上や福祉の増進」に抵触するようであれば、両者のあいだを調停し、周囲を「不快」にする事柄については、土地所有者の権利も制限することが必要なのではないだろうか。
最後に付言すれば、日本文化の継承者たる能の団体が、こうして文教環境を悪化させようとしていることもまた、日本の「後進性」の象徴のようで残念である。
PR
コメント