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忠弥坂

忠弥坂(ちゅうやざか) 本郷1-2と6の間。坂の上に丸橋忠弥の槍の道場があったのでこの名がついた。

宝生ハイツ建替え計画による桜蔭学園への影響について 東京都議会予算特別委員会 2025年3月13日

○福手委員 まず初めに、東京都の基本姿勢を確認していきます。
 東京都こども基本条例は、子供が健やかに育っていく環境の整備を求めていますが、知事はどう認識していますか。

○小池知事 東京都こども基本条例におきましては、全ての子供が誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならないと規定されているものと認識いたしております。
 都は、こども未来アクションを策定して、子供目線に立った政策展開をしております。

○福手委員 知事から大事な認識が答弁されました。
 私の地元文京区では、女子学校の桜蔭学園に隣接するマンション、宝生ハイツの建て替え計画により、学校と周辺地域の環境が悪化すると市民が声を上げています。
 パネルをご覧ください。これは以前、桜蔭学園のホームページに掲載されていたイメージ図です。今はもう掲載されていませんが、データを保存していた区民の方から提供していただきました。
 この建て替え計画は、総合設計制度を活用して、一般の人が出入りできるスペース、公開空地を設ける代わりに規制緩和を受けて、このパネルにあるように、現在の地上8階建てから20階建て、高さ70メートル、容積率600%の高層マンションに建て替える計画となっています。
 総合設計制度で建築するには都の許可が必要となります。許可され、高層建築が可能となれば、このパネルのように、教室にはほとんど日が当たらなくなります。接近してマンションが建てられることで、窓やバルコニー、公開空地から教室がのぞかれ盗撮されるおそれや、擁壁の上に立つ校舎への影響に懸念があります。
 2022年都議会第3回定例会では、桜蔭学園の理事長である校長と外14,714人の署名の賛同によって、総合設計制度を使った建築計画の見直しを求める趣旨の請願が出され、付託された都市整備委員会と文教委員会のどちらも全会派一致で継続審査となりました。否決はされなかったということです。
 地域では、地元町会や神社、学校が共同で会を立ち上げ、建築計画見直しの署名に取り組んでいます。署名はこれまでに2万筆を超え、今も増え続けているということです。
 日照問題や公開空地の在り方など、意見をいっても取り合ってくれない、制度の中でやっているから地元の意見は認められないようで返事がないなど、憤りの声が上がっています。
 伺いますが、総合設計制度の許可審査で許可されなかった事案というのはこの10年間でどれくらいあるのでしょうか。

○谷崎東京都技監 平成27年度から10年間において、申請を受け付けた後、許可しなかった案件はございません。

○福手委員 少なくともこの10年間は総合設計制度が許可されない場合はゼロなんです。許可制度といいながら、実態は許可しかない。制度として機能していないといわざるを得ません。
 では、総合設計制度の許可が下りない場合というのはどういう場合ですか。

○谷崎東京都技監 建築基準法では、申請された建築計画が市街地環境の整備改善に資すると認められる場合は許可することができます。
 都は、総合設計許可要綱にのっとり審査を行い、建築基準法に基づき、東京都建築審査会の同意を得て許可しております。

○福手委員 許可が下りない場合を質問しましたが、許可する場合を答えられました。
 市街地環境の整備が改善されるものは許可するといいますが、この建て替え計画は、総合設計制度を活用することによって、日照阻害、プライバシー侵害、校舎損壊の危険など、隣接する学校にこれだけの被害を及ばせることになります。この計画をどう考えても市街地環境の整備改善とはいえないのではないでしょうか。
 建築家で慶應大学准教授のホルヘ・アルマザン氏は、総合設計制度について失敗だったと話します。公開空地をビルの足元に設置することを条件に、床面積や建物の高さの制限を緩和することで、通常では不可能な大規模な超高層ビルの建築を許可している。しかし、公開空地は本来の公園や広場とは程遠く、厳重に監視された残余空間にすぎないと。そして、企業側による再開発を行政が後押しする政策だといっています。
 東京都こども基本条例の中で、子供の意見表明権をちゃんと保障することは重要なことです。子供の声を聞くというのは、ただ聞くのではなく、大人の都合のいいことだけ聞けばいいのでもありません。子供のいいたい意見を保障することが重要なんです。大人にはそれに応える応答義務があります。そこも含めて、こども基本条例には位置づいているんです。
 学校で学ぶ子供たちの声を聞きました。紹介をします。
 日が当たり、明るい西館がとても気に入っているのに、ずっと日が差さなくなり、カーテンを閉めっ放しとなるのは悲しい。隣の住人と目が合わないように、すりガラスなどにされると、閉塞感を感じて鬱になりそうで不安です。のぞき見、盗撮の可能性、校舎崩壊の可能性があるのはとても怖いと思いました。どちらも取り返しのつかない結果を招く可能性があるものです。安心・安全な環境で学校生活を過ごすことを望むことはぜいたくなことでしょうか。子供、人の安全、命より優先されることはあるのでしょうか。大人は子供を守ってくれないのだろうか。不安です。どうか安心して、伸び伸びした学校生活を送らせてください。お願いします。
 これ以外に声はまだたくさんありました。20人近い子供たちの声、どれをとっても不安と心配の声ばかりだったんです。この声を聞いて、大人として何をすべきなのだろうと思わずにはいられないという声もありました。子供の声がこのように出されているのですから、これにちゃんと応える責任があります。
 マンション建て替え計画が子供の権利を侵害することは子供たちの声が証明しています。子供の声も聞かないで、子供や学校に危険が及ぶ計画を進めるべきではありません。
 東京都こども基本条例は、都議会の全会派が一致して制定された条例です。子供の声を聞くのは大事だと私たち都議会議員の共通認識となっています。
 行政側も、各局が子供の声を聞く取組をやっていこうと、新年度も様々な計画を進めようとしています。それなのに、桜蔭学園の子供たちの声に向き合おうとしないで、この問題を放置してはいけないのではないでしょうか。
 東京都はこの条例を守る責務があります。子供の権利を守る立場に立つのか、東京都の姿勢が大きく問われています。多くの都民がこの問題に注目しています。子供の最善の利益を守る結果となることを強く求めて、次のテーマに移ります。

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